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胃が3分の1になったため、体重が10kgも減り、体力が落ちてしまいました。 |
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回答者(敬称略) ■青木照明(東京慈恵会医科大学客員教授、アルファ・クラブ会長) 食事の仕方に気をつけながら、消化酵素剤と半消化態栄養補助食品を活用し、さらに運動をして栄養を体に取り込むように心がけましょう。 |
胃を切除した患者さんのほとんどが体重減少を起こし、術後5年経っても術前の体重に戻りません。
●6割の人が体力低下による影響を自覚
1999年にアルファ・クラブ(下記URL参照)で行った調査では、術後5年以上の患者さんのうち、95%の人が術前より体重が減少したままでした。体重が減少した患者さんの中には、以前は肥満気味だったため体重が減って適正体重になったという方もいらっしゃいます。しかし、体重減少に伴い体力が低下し、日常生活に影響があると感じている患者さんも多く、その割合は6割近くにも上っています。
あなたも、病的なやせに陥ってしまっている方の1人だと考えられます。胃を切除した方がやせを改善するには、(1)適切な量の食べ物を取る、(2)食物が消化されてきちんと吸収され、血液中に栄養分として取り込まれる、(3)血液中に取り込まれた栄養素が筋肉や肝臓、骨、脂肪細胞に取り込まれ、貯蔵される――の3段階がスムーズに行われるように、食事と生活を変えていくことが必要です。
●あせって食べるのは逆効果
胃を切除した人は、胃酸、胆汁、膵液の分泌が減少し、食べ物の消化が悪くなります。加えて、食べたものは胃で貯蔵されずに急速に小腸に落下(ダンピング)してしまいます。胃を切除した後は、小腸が胃の代わりに消化吸収を行いますが、小腸での消化には限界があります。必要な栄養素を吸収する前に、下痢となって排出されてしまうことが少なくありません。
消化・吸収がうまく行われなければ、体はやせていきます。体重が落ちると体力も落ちます。そして動くのがつらくなり、日常生活の活動量が減ります。活動量が減ると筋肉が萎縮してしまい、骨にかかる負荷が下がり、骨の中のリンやカルシウムなどが溶け出し、骨塩量が減ります。筋肉や骨が細っていくと、ますます体重が減り、体力が落ちて動かなくなるという悪循環が起こります。こうして体力が落ちていくと、ますます消化吸収力も弱っていきます。
やせを回復させるためには、この悪循環をどこかで断ち切らなければなりません。あせってたくさん食べようとする方がいらっしゃいますが、量を多く食べれば消化しきれず下痢を起こし、逆効果です。
そこで、まず、「少量」「頻回」「よくかんで」を守り、消化しやすい状態で小腸に送り込んであげるように心がけます。そして、食前か食中に消化酵素剤を一緒に服用するようにします。消化酵素剤は、通常は食後に服用しますが、胃を切除した方の場合、前述のように食べた物がダンピングしてしまいますので、食直前か食事中に服用し、食事と消化酵素剤が十分に混ざり合うようにする必要があります。
●カロリーメイトなどを活用して体重増加
さらに、カロリーメイトや、医師が処方するエンシュア・リキッド、ラコールなどの「半消化態栄養補助食品」を活用するようにしましょう。
アルファ・クラブで行った調査では、胃切除後、やせで悩む人たちを3群に分け、これまでの食事にプラスしてカロリーメイトを1日1本飲む群、1日2本飲む群、飲まない群に分けて経過を見たところ、カロリーメイトを利用することで、利用量にしたがって体重が増えることが分かりました。
半消化態栄養補助食品は、カロリーが高く、必要な炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養素もバランスよく配合されており、カロリーと栄養素の補給に適しています。しかも、小腸で吸収されやすいように成分が調整されていますので、小腸に負担をかけません。
ただし、脂肪が多く含まれていますので、一度に多量に飲むと下痢を起こすことがあります。最初のうちは1〜2時間おきに3分の1ずつ、1日かけて1缶を飲むぐらいのペースで飲むようにします。そのうち慣れて一度に1缶飲めるようになります。
●運動で丈夫な骨や筋肉を維持しよう
食事の注意に加え、運動を行うことも大切です。血液中に吸収された栄養分を筋肉に取り込めるようにし、骨からミネラル類が溶け出すのを防ぐ必要があるからです。ウオーキングのような軽い運動だけでも違ってきます。さらに良いのは筋肉を鍛えるために、ダンベル体操などの筋力トレーニングを行うことです。
あなたの場合、10kgも体重が落ちてしまい、体力も落ちていると思われますので、急に運動をするのはきついと思いますが、少しずつ体を動かすようにしましょう。
(まとめ:坂井 恵)
〔参考資料〕
・国立がんセンターがん対策情報センター「がん情報サービス」
・胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ
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