がんナビ
NBCCFカンファレンス2日目
本格的なトレーニングの開始
日本イーライリリーの患者支援プロジェクトとして、5月2日から4日の4日間、ワシントンDCで開かれた米国乳がん連合基金(NBCCF)の「アドボカシー・トレーニング・カンファレンス」を取材した。2日目からはいよいよ本格的なトレーニングがスタート! 定例会議とワークショップについて紹介しよう。
●定例会議は、まるでTVショー!
定例会議では、検査方法から治療方法、臨床、医療経済、政策・政権交代の影響など、いろんな角度から乳がんに関する最新トピックスが議論される。会場の左右には大型ビジョンが設置され、さながらTVショーのよう。ちなみに部屋の中は思いっきりエアコンが効いていて、さ、寒い!「アメリカ人よ、もっとエコになろう!」
参加者が全員そろう定例会議の様子
各テーブルには小さなメモ用紙が用意され、参加者はそこに質問を書きこむ。これをスタッフが集めて壇上で発表をするという少々ローテクな双方向型会議だ。こうして常に最新の医療トピックス(問題点)を知っておくことは、政策議論の場では大切なこと。世の中や医療技術は常に変化し続けているのだから、問題も刻々と変化するはず。
TV番組をみているようでした
壇上には、医療従事者や体験者、ジャーナリストなど、様々な立場の人が登場し、みんなで一つのテーマについて議論する。定例会議は、「他のステークホルダーの意見」に耳をかたむけるトレーニングの場にもなっていた。
●費用対効果を考えよう
定例会議の中で「なるほど〜」と思ったのが「費用対効果とエビデンス」について。医学が進歩すればするほど、患者や国が支払う費用も増加するのが現実だ。先日、経営破綻した米ゼネラル・モーターズも、従業員向けの高額の医療費負担が経営を圧迫したと聞いた。
私もこの4年半の治療で約300万円の医療費を払った。3割負担でこれだから、言い換えれば「私の命は1000万円でキープできた」、さらに言い換えれば「私の命を救うために、700万円の税金が使われた」ということになる。
検査や治療を受けるたびに、「財布が空っぽ。諭吉さん、さようなら〜」と悲しく思うけど、実は、それ以上にたくさんのお金を国民全体に負担してもらっている現実も、私たち患者は忘れちゃいけない。
保険制度の違いもあるが、アメリカでも「膨大化する医療費」が大きな社会問題になっていることがよくわかった。私たち患者も「費用対効果とエビデンス」について学び、最適な検査、治療方法を選択する必要があることを痛感した。
●ワークショップは魅力的!
ワークショップの様子
定例会議の合間をぬって28のワークショップが開かれた(表1)。ワークショップは参加者20〜30人の小さな勉強会だ。参加者は自分の興味に応じて三つのテーマを選ぶことができる。
TVショーのような雰囲気の定例会議とは打って変わって、ワークショップは完全なディスカッション形式。活発な質疑応答が繰り広げられた。他にも参加したいワークショップは数多くあり、三つしか選べないのがとても残念!
私が選んだ三つの中で一番興味深かったのが「Computer Tools for the Clinic: Using Evidence in Decision-making」。
治療方法の選択は生き方の選択でもある。自分の人生は自分で決めたい。「患者の意思決定(Decision-making)」を助けるツールとして、コンピューターは重要なツールになり得る。
院内での使用に限られたシステムだし、開発の余地はまだあるけど、電子カルテと組み合わせていけば、よりよいシステムになるはず。日本もこれからだ!
●イベントホールで開かれる様々な患者交流
占い小屋のようなビデオルーム
定例会議を行っている反対側の部屋では、グッズ販売の他、患者参加型の数々のイベントが開かれていた。参加者がその日の講義の感想などを書き込むための「ブログ・コーナー」、自分のがん体験を語る「ビデオ撮影コーナー」、寄付金を集めるための「オークション・コーナー」もある。
中へ入るとこんな感じ。怪しげな二人のスタッフ
ビデオ撮影コーナーには、ひょんなことから話をした二人の若手NBCCFスタッフに放り込まれる羽目になった。「オーマイガーッ!」中へ入ると撮影隊が待ち構えている。私もビデオを片手に二人を撮影。
私は、二人に薦められるままに、日本では“がん=死”という固定観念が強く、就労問題など、がん経験者が社会で様々な偏見にぶちあたっていることを伝え「私は変革したい!」と偉そうに語ってしまった。
落札できなかったアメフトジャージ お宝だったかも!?
ビデオは、撮影した中の幾つかがウェブサイトにアップロードされ、ブログはIDとパスワードをもらえば後でじっくり読むことができる。ブログは参加者同士のコメントのやりとりも多く、バーチャルな交流の場になっていた。
「オークション・コーナー」には、絵画からアクセサリー、洋服まで、本当に様々なものが出品されている。ノートが置いてあり、金額を書き込む“手書きヤフオク”。出品者も入札者も、両方が楽しみながらファンドレイジング(寄付資金の調達)ができる。これぞ、アメリカ風だ。
こうしてトレーニング2日目も、幕を閉じた。
●著者プロフィール
桜井 なおみ
NPO法人HOPEプロジェクト理事長。2004年夏、30代でがんの診断を受け、手術、
化学療法。2007年再手術。2006年子育て世代の小児がん・若年性がん患者支援の会(ボタニカルキッズクラブ)を始動。設立1年を契機に法人化、現在に至る。人間力大賞2008会頭特別賞受賞など。












がんナビのトップページは基本的にリンクフリーです。バナーをご利用の際はこちらをお使いください。