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がん経験者は深刻な心理的苦悩を抱えるリスクが高い――米国の調査
米国のサバイバー(がん経験者)を対象とする調査で、がん治療終了後、長期にわたって生存している人は、がんの病歴がない人に比べて深刻な心理的苦悩にさいなまれるリスクが高いことが明らかになった。米Brigham and Woimen’s HospitalのKaren E. Hoffman氏らによる研究結果が、Archives of Internal Medicine誌(2009,169,1274-1281)に掲載された。
米国には約1200万人のサバイバーがいると推定される。これは人口の約4%に相当する。その数が徐々に増加していることから、がん自体やがんの治療が、患者のQOLや心理状態に与える影響を、長期に渡って調べる必要性が高まっている。
研究者たちは、米国勢調査局が毎年行う国民健康調査(National Health Interview Survey)に参加した人々を分析の対象とした。2002年から2006年の調査では、がんの病歴と心理的苦悩に関する質問も行われていた。
成人になってからがんと診断され5年以上生存している4636人(年齢の中央値は診断時が50歳、調査時は66歳)と、がんの病歴がない12万2220人の回答を比較。精神疾患に関する評価には国際的な指標として利用されているK6スケールを用いた。
過去30日間に深刻な心理的苦悩があったと判定されたサバイバーは全体の5.6%、がんの病歴がない人では3%で、差は有意だった(p<0.001)。社会人口学的要因(年齢、性別、人種、パートナーの有無、学歴、保険加入の有無、併存疾患、喫煙歴、手段的日常生活行為の能力)や他の臨床的な要因で調整しても、深刻な心理的苦悩ありと判定された人の割合は、サバイバーのほうが有意に高かった(調整オッズ比1.4、95%信頼区間1.2-1.7)。
特に、低年齢、未婚、低学歴(中卒)、無保険、併存疾患が多い、手段的日常生活行為(家計管理、食事の準備、旅行、買物、電話の使用、医薬品の使用など)が困難なサバイバーほど、深刻な心理的苦悩を抱えるリスクが高かった。
サバイバーのうち過去12カ月間にメンタルヘルスの専門家に相談していた人の割合は9%で、がんの病歴がない人では同6%だった。深刻な心理的苦悩ありと判断されたサバイバーでも、専門家を受診していた患者は3人に1人と少なかった。受診する余裕が無かったと答えた人が18%に上っている。
がんの病歴が長期にわたって患者の精神的な健康状態に影響を与える理由は複数考えられると著者ら。例えば、がんの診断と治療の精神面への影響は時間を経てから現れる可能性がある。また、がんに対する治療が、二次がんや、心臓、肺の機能不全、不妊、神経系合併症、神経認知機能不全などを引き起こす危険性もある。がんの病歴は、社会的な適応や雇用の機会、保険の加入資格などにも影響しうる。これらは全て、長期にわたる心理的ストレスの原因になる、としている。
著者らは「得られた知見を利用して、ハイリスクのサバイバーを特定し支援する必要がある。また、サバイバーに対するケアは、メンタルヘルス領域の専門的なケアも含む、より総合的なものであるべきだ」と述べている。
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