がんナビ
治療終了の日は、互いに待ち望んでいた記念すべき日です。治療の終了を祝福すると共に、自分たちが乗り越えてきた経験を振り返るときでもあります。自分の生活リズムを取り戻すことや、がん以外のあなたにとって重要なことについて考え始めることができます。
診察や検査、治療や、それに関わる用件で度々外出することもなくなり、自由な時間を持てることをうれしく思うでしょう。大切な人が回復し始めたら、以前のように一緒に外出したりして、生活を楽しむこともできるようになります。長期休暇や特別な行事を計画したりもできるでしょう。そして、仕事や家族の問題など、後回しにせざるを得なかったことに取り組むことができるようになるでしょう。
これが長いこと心待ちにしていた瞬間であったとしても、あなたはまだ感情的に不安定な時期にあることを忘れないでください。
| ●治療終了後は、以下のことを行ってみましょう:
・治療が終了したことを祝う。 ・大切な人が以前にしていたことで、任せられそうなことを見つける。 ・後回しにしていた他の家族や仕事のことなどに着手する。 ・がんを経験したことに対しての気持ちの整理をする。 ・友人や家族と過ごす時間を増やす。 |
●自分の感情を知る
| 『ある意味、喪失感のようなものを感じています。自分の家族と母の両方の世話をしていましたので、その間はいろいろあちこちと忙しく動き回っていました。でも、母が回復した今、人に必要とされている感覚を失った自分を感じています。自分で自分を持て余しているのです。』--介護経験者のGloria |
治療終了後にさまざまな気持ちを経験するのは当然のことです。以前より考える時間が増えたため、治療を受けていたときよりも感情が激しくなったという介護者もいます。
この時期には、喜びを感じる一方で悲しい気持ちも覚えるかもしれません。大切な人が治療を乗り超えることができたことに感謝し、安堵していることでしょう。しかし同時に、もはやがんと闘うための治療を行っていないことに不安を感じているかもしれません。あるいは、大切な人の衰弱した様子を目の当たりにして悲しみや喪失感を覚えるかもしれません。このように、治療終了直後は以前にも増して寂しさや孤独を感じる時期でもあります。たとえば次のような状況が考えられます。
・以前のように医療チームのサポートを受けることができず、心細く感じる。
・何かあったときの頼みの綱が切れたような気持ちになる。
・以前の自分に戻ることにプレッシャーを感じる。
・友人や家族はそれぞれの生活に戻って行き、むしろ介護者の仕事が増えてしまう。大切な人が治療を受けていたときほど彼らから連絡がもらえない。
・留守中に大切な人に何か起ったらという不安から、他の人と外出することを避ける。
・自分と同じような経験をしていない人たちと分かり合うのは難しいと感じる。
大切な人の気持ちが不安定だったり、塞ぎ込んだり、あるいは自信を失っている状態を目の当たりにして、あなた自身がさまざまな感情を経験したり、身体にちょっとした症状が起こるたびにがん再発の徴候ではないかと心配するかもしれません。しかしそれでも、大切な人が今生きているということ、そして人生を共に歩めるということを感謝することでしょう。また、自分にとって最も大切なことに労力を惜しみなく使いたいと願うかもしれません。
これらはすべて自然な感情であり、がんの経験を思い返す上でよい機会になります。直面する難題を克服するのに要する時間は人それぞれ異なります。
治療終了後に生じるさまざまな変化に対応するために、泣いたり、感情をあらわにしても構いません。常に明るく振舞ったり、元気を装ったりする必要はありません。大切な人と共に乗り越えてきたがんの経験を、ゆっくり時間をかけて消化していきましょう。治療終了直後に経験する強い感情は、時間とともに落ちつくと多くの介護者が言っています。
悲しみや絶望感が数週間以上も続く場合は、うつ状態の徴候かもしれません。うつ状態のために、身体の不調が現れたりすることもあります。こうした気持ちが原因で生活に支障を来している場合は、医師に相談してください。うつ状態は、カウンセラーやセラピストによるカウンセリング、または薬によって改善します。うつ状態の危険信号を以下の表にまとめました。
| ●うつ状態または不安に専門家の助けが必要ですか?
まず、以下に記したものの多くは正常であることを念頭においてください。多くのストレスを抱えているときは特にあてはまるでしょう。ただし、いずれかの徴候が2週間以上続く場合は、治療が必要な場合もありますので医師に相談してみましょう。 うつ状態または不安の徴候 ・無力感や絶望感を感じる、もしくは人生は無意味だと感じる。 ・家族や友人、趣味、またはかつて楽しめていたことに対して興味を感じない。 ・食欲不振。 ・不機嫌で怒りっぽい。 ・気になることがあると、それが頭から離れなくなる。 ・毎日長時間泣く、または何度も泣く。 ・自分を傷つける行為や自殺について考える。 ・神経過敏になり、いろいろな考えが次々と頭の中を駆け巡ったり、不安の発作を起こしたりする。 ・不眠、悪夢、睡眠過多といった、睡眠の問題を抱えている。 |
(監修:名古屋市立大学医学部 明智 龍男)
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