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骨転移に対処する 経過観察で早めに見つける

「骨転移に対処する」5か条

 骨転移の年間発生患者数は10〜20万人ともいわれ、その数は年々増えています。骨転移は放置すると麻痺や骨折をきたし、その結果、車椅子や寝たきりの生活を余儀なくされてしまうため、進行がん患者さんのQOL(生活の質)を著しく損ねてしまいます。

 がんのなかには骨転移しやすいものとそうでないものとがあり、特に骨転移の頻度が高いのは肺がんと乳がんです。この2つのがんで骨転移患者の約半数を占めています。次いで腎がん、前立腺がん、大腸がん、胃がん、甲状腺がん、膀胱がん、肝臓がんなどに多くみられます。これらのがんの経過観察においては、骨転移を念頭に置くことが重要です。

 治療には薬物療法、放射線、手術などの方法があり、患者さんの病状(神経や骨の破壊状態など)に応じて、各がんの主治医、放射線科医、整形外科医が話し合いながら決めていきます。

 残念ながら骨転移の出現はがんが一歩進行してしまった状況を意味しますので、骨転移治療の基本的な考え方は、「治す」よりも「延命」を目的に、「どこまでQOLを保持できるか」に目標が置かれます。例えば、患者さんの多くは、残された時間が限られていることもあり、なるべく侵襲性の少ない方向で治療法が検討されます。最も侵襲の少ないのはビスホスホネートという骨が溶けるのを防ぐ薬です。がんの種類によっては抗がん剤も効果があります。また痛みのある場合は鎮痛薬も有効です。

 しかし、麻痺や骨折による寝たきりでQOLが著しく低下することが危惧される場合は、手術や放射線治療による治療を行います。この場合、治療法の選択には、患者さんや家族の意向が大きく影響します。QOL保持に目標が置かれている分だけ、患者さんや家族にも「どのような余生を送りたいのか」という要望を明確に持つことが求められます。

 延命目的といっても、最近は根治性を目指した手術の開発も進んでおり、新しい考え方の1つとして、治癒が期待できる単発の骨転移に対しては、積極的に手術を行い、がん病巣を取り除くことも提唱されています。

 麻痺の場合は完全に動かなくなると、手術や放射線治療を行っても回復する見込みが低いので、早めに見つけることが肝心です。それには経過観察が大事で、骨転移発生率の高いがんでは、定期的に骨シンチグラフィーやCT、MRIなどの画像診断を受けたほうがよいでしょう。力が入りにくくなった、背中が痛い、寝ているときに足や背中がズキズキ痛むなどの自覚症状が数週間以上続き、ひどくなるようであれば骨転移の可能性が高いため、速やかに検査を受けるべきです。

 日本では、骨転移に関する診断や治療は緒についたばかりで、臨床現場でも診断や治療が十分に行われていない状況です。こうした現状を改善するために、2004年、厚生労働省の骨転移研究班が臨床ベースの治療ハンドブックを作成しました。骨転移が心配な人は、参考にするとよいでしょう。(W)

再発乳がん初期の治療方法選択

◎参考資料
*『骨転移治療ハンドブック』(厚生労働省がん研究助成金がんの骨転移に対する予後予測方法の確立と集学的治療法の開発班編、金原出版)
*骨転移ハンドブックダイジェスト http://www.kanehara-shuppan.co.jp/newbook/2004/0407/25132.html
*癌掲示板 http://www.gankeijiban.com/
*癌治療詐欺事件簿 http://cancer.squares.net/
*国立がんセンター http://www.ncc.go.jp/jp/

2006年11月21日

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